MOOC受講してみました(前半)
こんにちは。
Masaです。
この週末に実際にMOOCの講座を受講してみましたので、その感想を書きます。
MOOCって何?という方は前回の投稿をご覧ください。
MOOCの定義は明確ではありませんが、大規模公開オンライン講座という本来の言葉の定義からするとYoutubeにもたくさんの方がセミナー動画をアップしていますので、これも入ってしまいます。
今回は教育コンテンツのみをアップしているプラットフォームを見てみました。
coursera(コーセラ)
本日時点で469コースが提供されています。
うち124コースはcertificate(修了証)が発行されるコースです。
コースを提供しているのは92の大学や専門機関。
有名どころではブラウン大学、コロンビア大学、ジョンズホプキンス大学、ノースウェスタン大学、プリンストン大学、スタンフォード大学、シカゴ大学、ミシガン大学、ペンシルバニア大学、イエール大学などが参加しています。
カナダの大学はブリティッシュコロンビア大学、アルバータ大学、トロント大学が参加しており、日本からは東京大学が参加しています。
講座は短いもので4週間ほど、長いものは15週間続くものもあります。
講座は開講時期が決まっています。
開講日ジャストからスタートしなければならないわけではなく、開講してしばらくは登録可能です。
ただし、課題の提出日が決まっているので、遅くスタートするとそれだけ課題提出までに余裕がなくなります。
東京大学の「Conditions of War and Peace(戦争と平和の条件)」という講座を受講してみました。
こんな感じで動画の講義があり、講座によっては読み物があったりもします。
テーマ的にちょっと重たいテーマだったせいか、語り口は重たく少し一方通行的な講義を聞いている感じでした。
ただ注目は画面の下です。
英語の講義ですが字幕が出ます。
・・いや、ただのYoutubeの標準機能だったりするのですが・・、改めて英語の講義を聞くというときに、字幕があると随分便利だなと感じました。
私は留学時代、特に最初の頃は英語の聞き取りで本当に苦労しました。
大事な講義の内容をどれだけ聞き逃したか分かりません。
その頃、本当に教室の講師の横か下に字幕が出ればいいなあと思っていたので、この字幕付き講義を見て少し感動してしまいました。
英語が苦手な人も字幕があればかなり理解しやすいと思います。
もちろん動画は聞き直しも出来るし、講義のスピードも変更できます。
これらは、オンライン講座ならではの強みだと思います。
ちなみに、この講義の場合は、1.25倍くらいがネイティブスピードで聞きやすかったです。
掲示板のコーナーもあります。
ここで受講生同士でディスカッションできるわけですね。
出ているのは「Facebookで勉強会しようぜ」とか「英語が不得意な人があったら英語教えられるよ」といった書き込みで、本当の大学生のような和気藹々とした雰囲気の書き込みが多かったです。
edx(エデックス)
本日時点で83コースが提供されています。
コースを提供しているのは29の大学や専門機関。
有名どころではマサチューセッツ工科大学、ハーバード大学、カルフォルニア大学バークレー校、コーネル大学などです。
カナダの大学はマギル大学とトロント大学が参加しています。
日本は京都大学が参加を予定。
北京大学、精華大学、香港大学、ソウル大学というアジアの有名校の参加も目立ちます。
開講時期が決まっていることなどの仕組みはcourseraと同じです。
多くのコースはcertificate(修了証)取得を目指す参加方法と聴講のみの参加方法があります。
こちらはデモコースがあったので見てみました。
この物理の授業めちゃくちゃ面白かったです。
こんな授業だったら物理が楽しくなるかもしれませんね。
海外のインタラクティブだったり、飽きさせない授業を垣間見るだけでも勉強になるかもしれません。
独自のソフトウェアを使っていて字幕は動画の右側に出るので、courseraよりさらに見やすいです。
また動画が途中で止まってミニテストが始まるなど、インタラクティブに受講できる仕組みもあります。
udacity(ユダシティ)
本日時点で28コースが提供されています。
コースのほとんどがサイエンス関連とコンピュータ関連に集中しているという点でcourseraやedxと異なります。
講師は大学教授もいますが、そうでない企業経営者や普通の人もいます。
また講義動画はオンデマンド型で開講期間がなく、いつでもスタートできます。
講義の様子です。
edxと似ていて、動画が途中で止まって答えを促すなどインタラクティブな仕組みになっています。
とりあえずのまとめ
とりあえず、MOOCと言えば、この3つのプラットフォームが有名ですね。
コース数でダントツの充実度を誇るcoursera、独自ソフトで使いやすさを追求しているedx、理系やコンピュータ科目に特化し、いつでも見られるオンデマンド型で提供しているudacity。
それぞれ特徴を出しているのが分かります。
この他にも4つのMOOCプラットフォームを試してみたのですが、長くなったので続きは次回にさせて頂きます。
いずれも講義を受けてみて感じたのは、動画での講座ってアリだな、ということでした。
まず何と言っても興味ある講座を多数の選択肢の中から選べます。
そして
- 好きな時間に見られる
- 字幕が出る(不完全ながら日本語訳も可能)
- 何度も見直すことが出来る
- 時間がないときはスピードを速めて再生できる
といった教室の授業ではありえない利点があります。
あと講師の側も、多分何テイクか取り直しているはずです。
何テイクか取り直した上の最高の品質の講義が聞けるというのも効率的ですよね。
外国の講師はプレゼンテーションが上手な人が多いので、飽きさせない工夫も随所にあります。
システム上も、随時ミニテストを挟むなど、受け身にならない工夫がしてありました。
受講生同士は掲示板で相互にコミュニケーションが取れます。
掲示板でのコミュニティというと、あまりいいイメージがない人もいるかもしれませんが、私が見た限りだと同じ目的意識を持った受講生同士が、結構協力的にコミュニケーションを取っているなという印象でした。
もちろん、実際の教室での講義にあって、MOOCにないものもたくさんあります。
例えば、講師と受講者のインタラクティブなやり取りによって新たな見方とか考え方を見つけていくというのは、教室での授業の魅力の1つですが、現段階のMOOCの仕組みでは、このインタラクティブ性やリアルタイム性は十分ではありません。
インタラクティブなやり取りは、テクノロジー的には解決できるでしょうが、時差がある場合はどうしてもリアルタイムでのやり取りには課題が残ります。
また緊張感や強制力を欠くというのもMOOCの本質的な課題かもしれません。
MOOCのコース修了率は極めて低いそうです。
これは上記のインタラクティブ性にも関わります。
私はMBA時代、いつ指名されるかという緊張感を持ちつつ毎回の授業に臨んでいたわけですが、この緊張感が授業中の集中力と事前準備への強制力をもたらしていました。
動画での講義は、リラックスして聞けるのはいいことではありますが、初めは面白くてもだんだん飽きてくると集中力を欠いてしまう可能性があります。
ありきたりですが、目的意識の高い人向けの仕組み、逆に言えば、受講する人を選ぶ仕組みとも言えるかもしれません。
最後に、実習や施設の利用を伴うものは学びにくいということです。
もちろん、実習した結果をデジタル化してオンラインで提出できるようなものならいいですが、例えば薬品や動物を使った実験とかはお手本を見ることは出来ても、自ら実践することはオンラインの世界だけでは難しいでしょうね。
また受講者同士がチームを組んでプロジェクトをするみたいなことも、時差の問題などでリアルタイムでは難しいかもしれません。
こういった課題は抱えつつも、トータルでは、特に学びに飢えた人にとっては、極めて有益なツールだと感じました。
留学に興味のある人は、海外の授業ってこんな感じで行われているという雰囲気を感じるだけでも見る価値はあると思いますよ。
次回は残りの4つのプラットフォームのご紹介と受講した感想を書いてみます。
最後までありがとうございました。
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