実録!妻からみた夫の起業(その4)
- 2018.07.20
- 妻から見た夫シリーズ
- 移住, 起業
前回に引き続き、妻から見た夫の起業シリーズ第4弾をアップします。
カナダの永住権取得
夫が会社を辞める半年ほど前に私たちはカナダへの永住権申請を行っていました。
申請した後、長い間手続きに時間がかかっていましたが、2014年5月には健康診断を受けるよう移民局から指示があり、ほぼ間違いなく永住権がとれるところまできました。
とはいえ、その頃、夫のビジネスは起業5か月目で、まだ売り上げがゼロでした。
自分のビジネスで生計が立てられると確信できなければカナダ移住はしないと夫は言っていたので、まだ移住するかは分からない、折角永住権をとっても無駄になるかも、と思いつつ永住権取得の手続きは進めていました。
2014年12月には、永住権取得の最終の手続きのためにカナダに渡航する必要があったので、娘を連れて3人でトロントに行き1週間ほど滞在しました。
ここで正式に永住権は得られたのですが、この時、後々移住してきた場合の生活レベルをイメージするため、不動産エージェントの方にお願いして物件をいくつか見せてもらいました。
長く東京、大阪に住んでいた我が家ですが、改めてトロントの物件を見せてもらうととにかく家賃相場がかなり高い。
日本でどっぷりデフレマインドになってしまった私達にはトロントの生活費はかなり高いように思われました。
子どもの学校を考えると、どこでも良いという訳にはいかず、公立学校のレベルもそれなりで、暮らしやすいエリアで探してみると、1ベッドルーム(日本で言う1LDK)の家賃相場が月2,000ドル(1ドル=85円として17万円ほど)くらいでした。
しかも終日自宅で主にスカイプを使って仕事をする夫にとって、家族の生活空間とははっきり分かれた仕事スペースが必須なので1ベッドルームではかなり厳しい。
家賃2,000ドルを毎月払うと見積もると、収入は少なくとも毎月5,000ドルは必要というおよその情報が分かりました。
夫のビジネスのことはよく分かっていませんでしたが、とてつもない壁のように感じました。
夫のプレッシャーもかなりのものだったと思います。
さらに実は我が家にはこの後、次女が誕生する予定となっていました。
夫の退職、起業、家族でのカナダ移住と人生のトリプルパンチにさらに追加で新たな家族の誕生。
本当に無事カナダに移住して家族4人でやっていけるのか…、我が家は笑ってしまうくらい混迷を深めていきます…。
初めての売上
夫のビジネスは起業後すぐには軌道に乗りませんでした。
起業して生計を立てられないと判断したら就職活動をする、という約束をしていたので、
「1人でやっていけるかどうかどうやって判断するの?」
と聞いたところ
「最初の1年の間に自力で1円稼げるかどうかだ」
という答えが返ってきました。
夫の理論によると、ビジネスは売上が0円が1円になる瞬間が大事だそうで、1円稼げれば後はそれを増やせば良いだけだからずっと簡単だ、ということなのだそうです。
そんなものかしら、と思いながら眺めていましたが、来る日も来る日も最初の1円が稼げる様子がありませんでした。
しかし、ようやくそのときはやってきました。
起業後8か月目。
試行錯誤の末、最初の売上が入りました。3万円だったかな。
会社員時代に得たコネやスキルをまったく使わず、完全にゼロから一人で売り上げを上げた夫は喜んでいましたが、私は
「これでは生活はできない・・・」
とばかり考えていました。
しかし、その最初の売上は確かに夫の言う通りに、大きな転機となりました。
その後は、ビジネスは軌道に乗るようになりました。
そして遂にカナダへ移住
カナダの永住権は、一度取得すると、直近5年のうち2年間カナダに滞在すれば、その後も同じ条件で保持することが出来ます。
2014年12月に永住権を取得した私たちにとっては、実際にカナダに移住するまでは3年間ほど日本で暮らす猶予があったということです。
その間、夫のビジネスは山あり谷ありでしたが、少しずつ生徒さんが増えてきました。
ありがたいことに自分のブログで夫のIELTSコースを絶賛して下さる方や、友達にお勧めして下さる方も増えてきました。
こうして少しずつ、夫のビジネスを通して人の輪が広がっていきました。
2015年の年末には、夫は自分のビジネスで生計を立ててカナダで暮らすという目途を立てて、私たちは一家で移住することを決断しました。
カナダに移住することをお知らせしたらなんとうちの娘2人に、とプレゼントを用意して下さった生徒さんもいました。
その一方で、私は正直、この期に及んでもなかなか海外移住が現実のものとは思えませんでした。
家族で海外へ引っ越しとなると、今使っている家具の処分や船便の発送手配などいろいろやることが満載です。
何せ海外駐在ではないので渡航日から全て自分で決めなければならず、本当にカナダに移住するの?とずっと迷いがあった私はなかなか何も進められませんでした。
あまりにもリアルにイメージできなくて周りの友達にもなかなか話せなかったほど。
そんな様子を見て業を煮やした夫が渡航日をさっさと決めて家族4人分のトロント行きのチケットを購入してしまい、ついに私も諦めがつきました。
そこから怒涛のような忙しさでした。
2016年8月、ついに私たち家族はカナダに移住をしました。
真夏の暑い日でした。
何か先の見えない谷に向かってジャンプするような、そんな心境でした。
さて、この連載も長くなってしまったので、次回で最終回にしたいと思います。
移住後のこと、起業してからの振り返り、など書いてみたいと思います。
-
前の記事
実録!妻からみた夫の起業(その3) 2018.07.06
-
次の記事
実録!妻からみた夫の起業(その5) 2018.08.01