激化する大学の国際競争

激化する大学の国際競争

先日、留学時代の友人(シンガポール人)からメッセージが送られてきてしばらくチャットをしました。彼女は私たちが一緒に勉強したイギリスの大学院のシンガポールオフィスに勤めています。

 

彼女はもうすぐご主人の仕事の都合で子供2人を連れてイギリスのロンドンへ引っ越します。そこで子供たちのロンドンでの言語教育について、相談を受けました。

 

シンガポールの公用語は英語なのでもちろん学校では英語を教えられるのですが、もう1つ、自分の母国語を学ぶことになっているそうです。マレー人はマレー語、インド人はタミル語、彼女の子供たちの場合は中国語をシンガポールの学校で学ぶのだそうです。

 

ロンドンに行くと中国語を学ぶ機会が減るだろうから、中国語をどうしたら維持できるか悩んでいるようでした。

 

そこから彼女とシンガポールの様子についていろいろ話したのですが、興味深いことを言っていました。

 

「あなたは子供たちを日本の大学に行かせたいの?カナダの大学に行かせたいの?カナダのことはよく知らないけど、欧米の大学はアジアの大学に比べて資金が十分じゃないように思う。私は時々仕事でイギリスの大学の新しい建物についての宣伝を見るけどすごく恥ずかしくなるわ。だってシンガポールの大学の方がはるかに投資をしていてずっと素晴らしいインフラを持ってるから。実際イギリスまで新しいビジネススクールのキャンパスを見に行ったりするけど、アジアからの代表者は皆「OK… what exactly are we meant to be impressed by???(えっと…何に感動すればいいのかな?)」と思ってたわよ。ハードやインフラではイギリスの大学は国際競争に勝てないと思う。」

 

驚きました。実は我が家は漠然と子供たちにはカナダの大学に行ってほしいなと思っていたし、ハリーポッターファンの長女はイギリスの大学もいいなーと言っているので。

 

そして何より悲しいのは、その友人に「アジアの中でも日本は違う。日本の大学は全然資金もないし、国は大学に対して投資してないよ。」と言わなければいけなかったこと。日本の大学は資金が十分ではないため教職員は有期雇用の非常勤がとても多く、研究に力を入れられる状況ではありません。

 

京大の山中教授が資金集めのためにマラソンするくらいですから…。

 

最近の日本では日本のトップ大学を目指すよりも海外大学への進学を目指す高校生も増えてきていると聞きますが、当然の流れのように思います。

 

シンガポールや中国の大学が莫大な資金を投入し、しのぎを削って研究水準を上げようとしているのに対し、急速に少子高齢化が進む中で、日本の大学はこれからどこへ向かっていくのだろうと少し心配になってしまいました。