30代での海外留学を考える

30代での海外留学を考える

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こんにちは!

留学コンサルタントの藤本政信です。

今日は、留学と年齢について考えてみます。

一般に語学習得や新しい環境に慣れるのは若いうちがいいと言われます。

そのせいでしょうか、30代になって留学をしたいと思うようになったけど出来るのか不安になられたり、一歩が踏み出せないという方がいます。
そしてこのブログにも「30代 留学」というキーワードでアクセスされる方が結構いらっしゃいます。

現在30代の人が高校生、大学生だったときは今ほど留学に関する情報はありませんでしたし、実際留学する人も多くはありませんでした。
グローバル化も今ほど進んでいなかったし、環境面でも仕事の面でも、それほど海外留学の必要性を感じなかった時代でした。

だからとりあえず就職して、仕事に没頭して気付いたら30代に突入していた、という人もいると思うんです。
そして、昨今の急速なグローバル化。
私は30代で留学を意識する人は結構いるんじゃないかと思います。

私自身が留学を経験したのが30代なので、30代での海外留学のリアルについて書いてみます。

 

 

30代留学はアリかナシか

結論から言うと30代から留学、もちろんアリです。

私が学んだMBAのコースでは30代は当たり前ですし、40代もいます。
50代になるとエグゼクティブMBAという経営者向けのコースがあるので、そちらに通う人が多いです。

MBA以外のコースでも、30代以上の留学生は多くいます。
私が住んでいたのはトロント大学の学生寮ですが、これは家族がいる留学生用の寮です。

日本の大学では留学生が家族を連れてくるというのはあまり想定していないためか、こういった家族寮を持つ大学は少ないですが、カナダの大学では大きな家族寮がありました。
この寮で出会う住人は基本的には、留学生とその家族ということになるのですが、結構年上だなーって感じの人は多くいました。(外国人は年齢不詳の方が多いですけどね)

いずれにしても、カナダではmature studentsという言葉があるくらい年齢が上の学生が多くいて、何歳であっても学びが必要なときにはいつでも学校に戻って学び直すという考え方が定着しています。

また、アジア系の人は、お互いの年齢が気になるので、年を聞かれることもありますが、それ以外ではカナダにいると、そもそも年齢を聞かれることは日本にいたときに比べて極端に少ないです。
なので、自分の年齢はほとんど気にせず過ごせます。

英語も日本ほど上下関係の概念がないので、自分より若い人や年上の人とも、かなりフラットな関係が築けます。

 

30代ならではのアドバンテージ

海外の大学のコースワークはかなり厳しくて、確かに体力的にはしんどいこともあります。
その面では20代とか若い方が有利ということもあるかもしれません。

でも、就業経験があるからこそ、問題意識とか仮説とかは強く持っているケースが多いと思うので、その分学びが深くなります。
人間、興味がないことは教えられても記憶に残りませんが、経験がある人は、教えられたことを自分の経験に結び付けられるので、その分記憶に留まりやすいし、そこからさらに深い疑問を持つこともできます。
そして、20代にはない視点を打ち出すことができたり、困ったときの解決法を思いつくということがあります。

こういったアドバンテージは、特にグループワークへの貢献といった面で活きてきます。
海外の大学では「グループやクラスへの貢献」という概念が強くありますが、その点で有利ということですね。
私もグループワークでは、英語に関しては子ども扱いされることがありましたが、どんなに弁が立つメンバーであっても、彼らが作った論文とかを見ると、「課題設定の仕方が甘いなー」とか「全然ロジックがつながってないなー」とかが見えてくるときがあるんです。

年の功ってヤツでしょうか。
20代に仕事で色々揉まれといて良かったなー、と思う瞬間です。

そして30代で、特に家族連れの場合は、さらに利点があります。

それは、家族や子供をきっかけに、ネットワークの輪が広がりやすいことです。

まず、就学前くらいの子供を連れて歩いていると、かなりの割合で見知らぬ人から声を掛けられます。
ここが接点になって知り合いが増えるというケースがあります。

そして、子供が同じくらいの年齢だと、公園とかコミュニティセンターとか保育園とかで子供同士が仲良くなって親同士も仲良くなるというパターンができます。

単身で留学する場合は、学校以外のネットワーク、特に現地に住んでいる人たちとのつながりってなかなか広がりにくい部分もあると思うんですが、子供や配偶者経由で、ネットワークが広がるというのが大きな利点です。

 

逆に30代で苦労する点は

そんな30代の留学で苦労する点と言えば

順応力が低下していて、英語のマスターや新しい環境への適応が厳しい

ということがあるかもしれません。

でも、英語や環境への適応って20代であってもそれなりに苦労するものですし、英語の吸収力って20代も30代もそんなに変わらないんじゃないでしょうか。

環境への適応といっても、先進国で、しかものんびりした感じのカナダは、日本人にとっては最も適応しやすい国の1つだと思います。
あの冬の寒さでさえも、1年経験すれば当たり前になってしまうんです。

人間の適応力って思っている以上にスゴイんです。30代を言い訳にするのはやめましょう。

もう一つの心配ごとは卒業後の進路ですね。

勤め先を辞めて留学し、就職活動をするのが30代後半以降になる場合は、現地、日本問わず就職が厳しくなるのは事実だと思います。
こればっかりは不利であることは否めません。

なので、もし今勤めている会社に不満がないならば、社費を出せとまでは言わないので、せめて休職を認めてもらえるような形で交渉してみるのは1つの手です。
実際、私の会社も、留学で休職というのは、当時制度にはなかったのですが、交渉してOKにしてもらいました。
就職活動の心配をせずに学業に専念できるというのは大きいです。
出来ることはダメ元でやってみましょう。

それも叶わず、留学後に転職することを前提とすると、30代後半以降は、マネジメント経験が問われます。

マネジメント経験が実際にあるならいいですが、ないのであれば、その部分はアピールが出来ません。

でもマネジメント経験って何?とよくよく考えてみると、「○○人の部下を持っていました」という事実そのものが重要なのではなくて、その経験からどんな考え方やノウハウを持っているか、という部分です。

仮にマネジメント経験があったとしても、部下をモチベートする方法、教育の仕方、評価の仕方、倫理観に関するポリシーなど、その経験から何を学んだかを語れない人は多いわけです。

逆に、直接マネジメント経験はなくても、 何か違う経験から上記のようなノウハウを得ていて、それを伝えることができれば、評価される可能性は高いと思います。

30代なら、今までの経験からひねり出せば、実はマネジメント経験はゼロではないことが多いのではないかと思います。
どうしてもなければ最悪、留学中に作り出すこともできるでしょう。
コースの中のグループワーク、課外活動、インターンシップなど、いくつか機会はあります。

そして、最後は就職ではなくて、起業という選択肢を考えてみることです。

留学で何年間か現地滞在するのなら、最初からある程度起業という選択肢を持っておくんです。
結果的に起業しなかったとしても、起業家目線で授業を受けたり、現地の情報を得ることは後で必ず役立ちます。
そして、そういったアンテナを張っておくからこそ、様々な刺激を受ける中で、色々なチャンスを見つけることもできるのではないかと思います。

家族がいる場合、簡単な決断ではないと思いますが、選択肢の1つとして頭に入れておくだけでも、可能性は広がると思います。

 

ということで、30代での海外留学、良い面と心配な面を書いてみました。

30代で留学に迷っている方にとって、何かの参考になれば幸いです。

ちなみに30代で留学した私を妻の視点から見た投稿もあります。ご参考まで。

実録!妻から見た夫の留学(留学準備編) 

最後までありがとうございました。