ストライキ真っ最中
- 2020.02.11
- カナダでの教育と生活
ただいまオンタリオ州では予算削減のためいろいろな案を打ち出した州政府に対して抗議する教員組合のストライキが真っ盛りです。
先週は木金とストライキで休校、土日を挟んで今週月曜日は登校し、火水とストライキで休校。木曜日は登校し、金曜日とその後の月曜日はもともと休みの4連休。というわけで今週の登校日は2日だけです。
今日(月曜日)、長女が学校に行ったら先生がクラスに対し、「今日は特別なイベントがあります。学校があります!」と話したらしいです…。
このストライキ、まったく終わりの兆しが見えません。
長女は最近学校で吹奏楽のクラブに入ったのですが、ストライキのため教員が課外活動指導を行わないので練習がありません。6月には卒業旅行でオタワに行く予定で既に支払いも済ませているのですが、ストライキの行方によっては心配になってきました。
教員組合が撤回を求めているのは主に以下の点のようです。
高校の1クラスあたりの人数を増やすこと
前教育大臣が高校のクラスあたりの人数を22から28に増やすと発表しました。つまりは教員のポジションが減ることになり、教員組合から反対の声が上がりました。現教育大臣Lecceは条件付きで25にすると譲歩しましたが教員組合は受け入れることはできないとしています。
昇給幅の抑制
オンタリオ州では教員だけでなく、公務員の昇給を今後3年間1パーセント以内とするという法案がすでに通っているのですが、教員組合はインフレ率に合わせて2パーセントの昇給を求めており、この要求が最も大きな障害となっているとLecceは話しています。
が、オンタリオ州の教員の年収は平均86,000ドルであり、カナダ全体で見てもアルバータ州に次ぐ高さであるということも事実です。加えて充実した福利厚生。この点については市民からの支持を得にくいかもしれません。
一方で教員組合はこのストライキは自分たちのお金のためではないということを繰り返し主張しており、昇給にスポットをあてがちなLecceのやり方を、組合が貪欲(greedy)であると人々に印象付けるためのものだと厳しく非難しています。
オンライン授業
州政府は高校でオンライン授業を増やして教員の数を減らしたいと考えています。もともと州政府は高校卒業のために4コースのオンライン授業の履修を必須とするとしていたのを、2コースに減らすと譲歩しましたが、教員組合はインターネットへアクセスできない低所得層の家庭に不利益があることなどを理由に反対しています。
全日制の幼稚園プログラムの見直し
2010年ごろまではオンタリオ州の公立幼稚園は半日だけだったので午前か午後だけしか通うことができませんでした。それが今はすべての幼稚園で4歳と5歳の2年間、9時から3時まで無料で通うことができます。一部の人からはこれはやりすぎで、税金でベビーシッター代を肩代わりしているようなものだとする声もあるようです。州政府からも幼稚園を半日に戻すという案が一時出たので激しい反対にあいましたが、今はLecceは全日制の幼稚園はそのまま維持する、としているようです。
というわけで、要は何を争点にそんなに揉めているのか、これからこの議論はどこに向かい、いつごろ収束するのか、よくわかりません。その最大の理由は州政府と教員組合がお互いを非難し合い、相手を悪く言うことで自分が優位に立とうとする戦略に出ているからで、そのため真実がとても見えにくくなっているように思います。
カナダ人の友達にそう話すと、やはりこれは「PR Game」であり、双方が人々の支持を得て相手を負かそうとすることによって起こっているのだということです。
それにしても驚くのは教員組合の交渉相手、オンタリオ州政府の教育大臣Stephen Lecceは弱冠33歳ということです。インターネット上ではそれはもう教員や保護者から激しく非難をされているのですが、かなり強靭なメンタルなのだろうな…と思ってしまいます。
我が家は選挙権がないのであまり政治に興味を持っていなかったのですが、子供がここまで影響を受けるとちょっと考えてしまいます。とにかく1日も早く収束することを願うばかりです。
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