新型コロナが及ぼす、カナダの移民受入政策への影響とは
- 2020.05.18
- カナダでの教育と生活
前回の記事でご紹介したケベック州の学校再開ですが、やはり予定が一部変更されました。モントリオール外の学校は予定通り再開されましたが、最も問題が深刻な都市部のモントリオールは9月まで休校となったようです。
ちなみにオンタリオ州の学校については連休明けの火曜日に発表される、という発表が先週金曜日にありました。なぜ「発表がされることについての発表」しかされなかったのかはよくわかりませんが…。
そして、7月8月に毎年多くの子供が参加するトロント市主催のサマーキャンプはすべてキャンセルが決定しました。今後状況がよくなれば、可能な限り新たなルールに沿った代替のキャンプを用意したいということのようですが、まだどうなるかわかりません。
オンタリオ州では3月中旬からずっとロックダウン状態でかなり経済を止めているのに、まだまだ思うように新規感染者が減っていきません。改めて数字をみると、オンタリオ州の人口は東京都の人口とさほど変わらないのに(そして人口密度の高さと高齢化社会という点で東京の方がよっぽど条件は悪いのに)、いまだに1日の新規感染者数が300人を超えており、死者は1,800人以上です。最近の東京や大阪の新規感染者数のニュースを見るたび、本当にすごいことだと思うし、なぜこんなに違うのか、不思議です。
さて、今回の本題です。アメリカは国内の雇用を守るため、現在ビザのプロセスを一時止めているようですが、カナダもそういったニュースがありました。新型コロナによる経済悪化のため、移民・難民・市民権大臣がここ10年で初めて移民受け入れ数を減らす可能性を示唆したとのことです。トルドー政権はかなり移民推進の政権であるとされているため、少し驚きました。
一方で、こんなニュースもありました。
カナダにはPost Graduation Work Permit (PGWP)という就労ビザがあります。このビザはカナダの大学やカレッジを卒業した人が最大3年間カナダで働くことができるものです。
雇用先を限定しないビザなので、比較的ジョブオファーをもらいやすく、またその3年の間に成果を出すことができれば雇用主が永住権申請をサポートしてくれることにもつながるため、PGWP経由で永住権を目指す人がとても多いです。(就労ビザのない外国人がいきなりジョブオファーをもらうことはほぼ不可能とされています)
このPGWPですが、ビザの期間はカナダで履修する大学やカレッジのコースの期間によって決まり、カナダ国外からオンラインで学ぶ期間は算入されません。
ところがこの秋から大学、カレッジは次々とオンラインコースへの移行を発表しており、通常は夏にたくさん入国する留学生がカナダに来られるかどうかも不透明となってしまっています。そこで、カナダ政府はオンラインで学ぶ留学生もPGWP申請の要件を満たすものとルールを変更しました。
今後確実に経済が悪くなっていく中で、やはり留学生や移民の受け入れはカナダ経済にとって重要であると見なされていることがよくわかります。
実際、カナダではこのような状況でも経済移民の受入プロセスは粛々と進んでおり、最近になってエクスプレスエントリーで招待状を受け取るのに必要なCRSポイントが下がってきています。
新型コロナによって、ここしばらく急速に進んでいたグローバル化の流れに急ブレーキがかかり、今後は逆に国内回帰が進むのかと思ったりもします。が、実は今がチャンスでもあるとも考えられますね。世界各国でIELTSの開催が中止になっていたり、オンライン受験に変更となっていたり、英語の勉強へのやる気が失われがちな環境ですが、ぜひ将来を見据えて行動してほしいと思います。
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