日本とカナダの小学校の違い
こんにちは。藤本です。
長女が地元の小学校に通うようになって約5か月ですね。
ここで、これまでに気づいたカナダの小学校と日本の小学校の違いについてまとめてみたいと思います。
ちなみに私はこういうとき、全てカナダの方が良い、というスタンスで書くのは嫌いです。
どっちも良い所もあれば悪いところもあるのは当然ですね。
だから、「1.カナダの小学校で良いと思う点」「2.日本の小学校で良いと思う点」「3.良いか悪いか分からないけど日本とカナダの違い」に分けて書いてみます。
この違いを整理するのに当事者である娘にも色々話を聞きましたので、娘の感覚も入っていると思います。
目次
1.カナダの小学校で良いと思う点
多言語に触れる機会が多い
まあ、これが一番ですかね。
授業は当然英語ですが、毎日フランス語(カナディアンフレンチ)の授業もあります。
日本だと英語の授業は1-2か月に1回とかでしたので、多言語に触れる機会は圧倒的に増えます。
授業以外でも他の生徒がしゃべっている中国語、韓国語、ペルシア語などに触れることも多いようです。
驚いたことに、クラスに、2か国語、3か国語以上話せる子が半分以上いるらしいです。
これはすごい環境ですね。
あとESLも充実しています。
娘にとっては、ESLはちょうどいいレベルの英語らしくて、とても楽しいらしいです。
娘の場合、1日のうち、午後は丸々ESLになっています。
午前中は、普通の授業ですが、ESLの先生が見回りで教室にやってきて、ESLの生徒のサポートをしてくれるらしいです。
それで、分からないなりにも、何とか午前の授業にもついていけているようです。
スピーチ、プレゼンの機会が多い
スピーチやプレゼンの機会が日本の小学校に比べて多いです。
それも、ビジネスパーソンでも学ぶべき、スピーチやプレゼンの基礎をしっかり理論的に学んだ上で、実践を経験していきます。
先日、娘の宿題で出たのはこんな問題でした。
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Find three speeches written or video and identify the hook. What made you want to read or listen to more of the speech?
(3つの文書またはビデオのスピーチを見て、”フック”を明らかにしなさい。あなたがそのスピーチをもっと読みたい、聞きたいと思ったのはなぜですか?)
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スピーチにはフック(聴衆を惹きつけるための最初の引っかかり)が必要と言われますが、そのフックを学ばせる宿題です。
こんな宿題は、社会人にさせると良さそうですけどね。
そして、その宿題を受けて、次の日にはこんな宿題が出ました。
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クラスの係に立候補する際のスピーチを考えなさい。
その際以下の点を気を付けること。
・Hookを作ること
・Introduction, Body, Conclusionの3つのパーツを分けて構成すること
・Bodyでは3つの理由または議論を含めること
・Grammar、Vocabularyに気を付けること
など
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小学生から、こういうスピーチ、プレゼンの基礎を学び、自分を売り込む機会があるというのはとても良い環境だと思います。
(1/24追記)
ちなみに、この係の立候補は、落選した場合、クラスでの仕事はなくなるけど、その分成績が下がるそうです。
日本のように全員に仕事が与えられるわけではない、その仕事は自分でつかみ取れ、というメッセージですね。
この環境も日本にはない良い点だと思います。
1日8コマ授業
こちらでは1コマの授業時間が短く、1日8コマの授業があります。
これは小学生にとってみれば良いことではないかと思います。
1コマの授業時間が長いと、なかなか集中力が持ちません。
それよりは、短時間で切り替えて、次々と違う授業をする方が合理的、という気もします。
先生は大変かもしれませんが。。。
娘に聞いてみても、8コマ授業の方が、色んな授業が出来るので良いという反応でした。
またコマ数の関係で、休み時間も1日3回あるらしいです。
このように、授業と休みのメリハリを利かせて、集中するときは集中する、という感じは良いやり方かもしれませんね。
先生が結構怖い
カナダの先生って言うと優しいイメージがあるかもしれませんが、実際は結構怖いですよ。
娘が面白いことを言っていたのですが
「日本の小学校は、男子と女子がケンカをしたら先生は男子だけを叱ったり、泣いたら怒られない、みたいなことがあって、そこが嫌だった。悪い人がきちんと叱られるべきだと思う。カナダでは男子でも女子でも悪い人がきちんと叱られるから良いと思う。」
だそうです。
実際、娘の担任は、見た目からして、スキンヘッド、ひげ、筋肉ムキムキという、かなりいかつい先生ですが、実際に叱るとかなり怖いらしいです。
妻が子供を迎えに行ったときに、実際その先生がある女子生徒を叱っている現場を見たようですが、大人でも震え上がるほどの迫力だったらしい。
ただヒステリックに叱るだけでなくて、普段は優しくて面白い先生だそうです。
保護者面談に行くと、子供の良い面は見ていてくれるし、英語が不自由な子供へのケアもしっかりしている、かなり良い先生です。
まあ、これはたまたま娘の担任の先生が、という話ですが、何となく日本の先生は、保護者に気を遣い過ぎているせいか、言いたいことが言えない、叱るべきところで叱れない、そんな先生が多かったような気がします。
ノートが無料支給
小さな話ですが、授業で使うノートは学校から支給されます。
日本だと買いに行かなければならなかったので、結構面倒でした。
その点はこちらの方が良いですね。
教科書は置いて帰る
教科書は教室の机の中に置いて帰ってます。
日本ではすべての教科書を持ち帰るのがルールでしたので、家では使いもしない教科書を毎日ランドセルに詰め込んで往復していました。
それが本当に重くて、毎日大変そうでした。
今は、宿題がある科目の教科書だけ持って帰っていますので、随分合理的ですね。
それでいいんじゃないという気がします。
ちなみに教科書は、毎年新しいものが支給されるのではなく、前年、前々年に使った教科書をお下がりでもらいます。
だから、落書きがあったり、練習問題に答えが書き込んであったりします。
その面ではちょっと汚いなと思うこともありますが、学年が終われば教科書を開くこともほぼ無いわけで、まあ合理的と言えば合理的かもしれません。
2.日本の小学校で良いと思う点
給食がある
こちらの小学校に給食はありません。
まあ色んな国の出身者がいるので、全員が食べられるようなメニューが出来ないという事情もあるのでしょう。
そこで毎日弁当を準備することになりますが、これは親からするとちょっと大変ですね。。
日本のようにお弁当に使いやすい冷凍食品なんかもそんなに充実しているわけではありません。
アレルギーの子供も多く、事故防止のため、例えばエビ、カニを使ってはならない(たとえ自分の子供は大丈夫でも)など、弁当のメニューにも制約があります。
改めて日本の給食制度は、あの値段で、あの栄養バランス、しかも温かい、という素晴らしい制度だと思います。
先生が休まない
え?先生休むの?って感じだと思います。
私は小学校から高校まで担任の先生が休んだという記憶がありません。
しかし、カナダでは先生がお休みするケースがあるんですね。
まず、PA Dayという日が月に1回くらいあります。
これは先生が一斉にお休みを取るという名目の日です。
この日は全校が一斉にお休みです。平日ですよ。
だから共働きの家庭は、子供をどこかに預けるか、仕事を休まなければなりません。
カナダ人からも非難の挙がる制度ですが、実際にあります。
あと、うちはまだ経験がありませんが、学校の先生がストライキを起こすことがあります。
公務員のストライキが普通にあるんですね。
そうなると解決するまでは授業が出来ません。
運動会がある
こちらでは、小学校に運動会なるものがありません。
日本にいると運動会があるのは当たり前だし、場合によっては煩わしく感じるイベントかもしれませんが、私は日本の運動会ってすごいなって思っています。
まず子供たちにとっては大きな思い出になるイベントですよね。私も未だに小学校の運動会の思い出ってあったりします。
あと、団体行動を学ぶ貴重な機会だと思うんです。
組体操なんて批判も多いですが、1つのものを作り上げる、下の人間が我慢して支え、上の人間は下の人間を信頼する、っていう経験は貴重なものだと思います。
こちらの小学校では、運動関連のイベントとしては、クロスカントリー(要はマラソン大会)がありましたが、もちろん団体行動ではありませんし、周回遅れになると最後の1周はギブアップしても良いという(!)変なルールだったので、ペースが遅い子は少ない距離しか走らないという何だかよく分からないものでした。
掃除時間がある
日本の小学校には掃除の時間がありますね。
小学校どころか高校まで掃除の時間があります。
日本人が綺麗好きなのは、あの小学校から続く掃除の習慣から来ているのではないかと思うわけです。
こちらは、小学校でも掃除の時間はありません。
まあ小学生にしてみたら掃除時間が無いなんて嬉しいことなのかもしれませんが、個人的には、「掃除は掃除をする人がいるので自分たちはしなくて良い」みたいな感覚はあまり好きではありません。
「自分たちが掃除をすると、掃除をする人の仕事を奪う」なんてもっともらしい考えもあるようですが、私からすると「小学生でも出来る仕事なんて、小学生が奪わなくてもいずれ機械かロボットに奪われるのでは・・・」という感じです。
それよりも、掃除を経験することで、「ゴミを出さないようにする」「ゴミはきちんとゴミ箱に捨てる」という感覚を養った方が効率的なのではないかと思う次第です。
ちなみに娘も掃除時間はあった方が良い派でした。教室の中は分かりませんが、校庭にはよくゴミが落ちてたりしますので、そういうのが嫌だと感じているようです。
3.良いか悪いかはよく分からないけどカナダと日本の違い
体操服がない
日本のように体操服が決まっているわけではありません。
運動しやすい服と靴を持っていきます。
子供としては、長袖長ズボンでもOKなので、日本の体操服よりは良いようです。
送り迎えが必要
カナダでは子供を一人にすることは法律上許されません。
何歳から一人にして良いかは特に法律上定められていないようなので、親の判断で、一人で帰宅している高学年の子供もいますが、まあ通常、小学生は毎日送り迎えに行くことになります。
これは学校から遠い場合は親に負担がかかる一方、子供の学校での様子を見られたり、行き帰りに学校であった出来事などを話すことにもなるので、良いコミュニケーション機会にもなります。
スナックを持参
休み時間にスナックを食べる習慣があるので、スナックを毎日持参することになります。
子供にとっては大きな楽しみである一方で、親にとっては健康面など気になるところではあります。
一応、持参できるスナックにも制限があって、ただ甘いだけで栄養が無いものは不可のようです。
逆に持っていくものが限られて大変だったりもしますが。
休み時間は強制的に外で遊ぶ
日本は休み時間、教室に残って時間を過ごすことも許されますが、こちらでは休み時間はマイナス5度くらいまでは、強制的に外に出なければなりません。
娘としては、室内で遊びたいようですが、まあ良いことなのか悪いことなのかはよく分かりません。
コンピュータの授業が多い
日本よりもコンピュータの授業が多いようです。
これだけコンピュータ中心の世の中ですから、ある程度のスキルを身につけることは必要だと思いますが、反面、コンピュータへの依存を生んだり、インターネットを使うことのリテラシーについての問題も出てきます。
実際に、クラスの掲示板があって、そこには毎日クラスメイトの書き込みがあるようです。
娘は英語がまだ弱いので、参加していませんが、そういうのにハマると結構時間を取ってしまうような、そんな懸念もあったりします。
スケートの授業がある
娘の学校はたまたま近くにスケートリンクがあるので、授業でスケートをしたりします。
娘はスケートが大好きなので、その授業は本当に楽しいみたいです。
長期休みの宿題がない(1/24追加)
カナダの学校とは言え、普段は3日に2日ぐらいの割合で何がしかの宿題が出るのですが、冬休みなどの長期休みの間は全く宿題がありません。
日本では長期休みの間も春休み以外はばっちり宿題が出ますので、子供は宿題をすることでかなりの時間を使います。
親も「宿題しなさい」と言っておけばそれで済むところもあったりするのですが、カナダだと例えば、夏休みは、3か月も宿題無しに過ごすわけです。
この時間が子供にとって有意義な時間になるかどうかは、親の企画力にかかってきます。
ということで、今後また出てくるかもしれませんが、とりあえず今のところのカナダと日本の小学校の比較でした。
中学、高校になるとまた変わってくるところもあると思いますが、どちらも良いところもあれば、足らない部分もあります。
その足らない部分をどう補っていくか、が今後の課題ですね。
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