日本の大学もTOEFL/IELTS利用の流れ
- 2014.02.21
- グローバル化と国際人 英語
- TOEFL, IELTS, 大学入試
こんにちは。
留学コンサルタントの藤本です。
今日は国内の話です。
2月19日に東京海洋大学海洋科学部が平成28年度入試からTOEFL/IELTS/TOEIC等のスコア保持を出願要件に加えるという発表をしました。
受験者全員に課すのは全国初とのことです。
グローバル化に向けた東京海洋大学海洋科学部の入試改革について
気になる必要スコアですが、
TOEIC 400点以上
TOEFL 40点以上
IELTS 3.5以上
GTEC for Students 500点以上
英検 準2級以上
と当たり前ながら、海外大学進学に比べるとハードルは決して高くないですが、以前から言われていた国内大学入試における外部英語試験の利用がついに始まったという意味としては大きいと思います。
昨年の教育再生実行会議でも提言として言及されていましたし、今後この動きは拡大すると予想されます。
こうなると海外の大学進学を目指すにしても、日本の大学進学を目指すにしても、いずれにせよTOEFLやIELTSの準備は必要になる、ということです。
大学入試へのTOEFL活用は賛否両論
大学入試への外部英語試験活用については、賛否両論あります。
ざっと調べてみたところ賛成の立場からは
- 英語の4技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)の実践能力を測るのに優れている(日本の英語教育は実践力で有効ではない)
- 海外大学の併願や海外大学への編入もやりやすくなる
一方反対の立場からは
- TOEFLは難しすぎる
- 受験料が高い
- 大規模運用が難しい
- 日本の高校で4技能を教えられる環境にない
- そもそも全員が英語をやる必要はない
こんなところが論点です。
主に、必要性から見たら賛成、実現性から見たら反対、という感じです。
日本が置かれた立場
私は賛成の立場です。
これはどこの視点から考えるか、でしょうか。
私は世界の中で日本の存在感を示すために、海外でも活躍できる人材を増やすべきだという立場から考えたいと思います。
日本はかつては世界の中の経済大国として存在感がありました。
人口も多く成長していたので、日本の基準がある程度世界に認められていました。
でも人口が減っていき、経済的にも徐々に世界から注目されなくなっていく中で、日本の中で日本の基準で生きていても、残念ながら世界からは認められないことが多くなってきました。
これは私自身とても残念に思うことです。
この状況を打破するには、世界の基準を知って、その中で日本人としての強みを発揮していくことが大事だと思うんです。
もちろん、何でもかんでも他国と同じ通りにやる必要があるとは思いません。
日本には日本の強みがあるわけですから、それを大いに発揮できればまだまだ存在感は出せるはずです。
ただ、世界の標準というか、最低限同じルールの中に入っていく必要があると思います。
この最低限のルールに乗っかれる人材を輩出することが日本の大学に求められているわけです。
その意味で、英語というのはアカデミックの世界でも、ビジネスの世界でも、もはや世界共通語になっていて世界の標準ルールのうちの1つでしょう。
そして、その英語能力を判断する試験として世界で最も利用されているTOEFL、IELTS(TOEICは必ずしも世界では利用されていないのでここでは外します)でもって英語能力を測るというのは当たり前のように思います。
実現性の問題
反対意見の主な論点である実現性ですが、ここは慎重に考えていく必要があります。
たしかに、もしかしたら一生英語なんて使わないで生きていきたいという人もいるかもしれません。
将来の選択肢が狭くなるというリスクを覚悟でそういう生き方を選択するなら、それはそれで1つの選択だと思います。
そんな人のために英語力を問わない学校というのがあってもいいかもしれません。
だから全大学に義務付ける必要はないと思います。
また私もTOEFLは確かに難しい試験であり、高校で教えられる教員が少ないことは理解できます。
ただ必要性はあるのに実現できないから現行のままにしておく、というのでは日本の存在感はますます無くなっていきます。
であれば、TOEFL/IELTSに替わる試験(それも世界で通用するような試験)を開発するか、TOEFL/IELTSに対応できるように指導方法を確立していくしかありません。
でもそれが出来上がるのをじっくり待つわけにはいかないので、現時点では一番良いと思われるTOEFL/IELTSを利用するのが現実解ではないかと思います。
また勉強方法についても、留学を志す人は高校生であれ、社会人であれ、忙しい中、時間を作ってスコアを出しているわけですから、それら学習方法を収集すれば、指導方法の確立も不可能ということではありません。
あと個人的にはTOEFLやIELTSは難しいからこそ意味があると思っています。
私自身は留学前にTOEFL地獄で苦しんだ人間です。
でも毎回スコアという明確な現実をつきつけられ、悔しい思いをしたからこそ、英語の勉強を続けられ、その結果として英語力が上がりました。
難しい課題を突きつけられるからこそ、人間は努力して成長する、こんな視点も忘れないで欲しいなと思います。
最後までありがとうございました。
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