働き方は本当に変わるか?【書評】世界の働き方を変えよう

働き方は本当に変わるか?【書評】世界の働き方を変えよう

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こんにちは。藤本政信です。

購入して目が通せていなかった本がいくつかありましたが、この正月に読んでいます。

今日はその中の1冊をご紹介します。

世界の働き方を変えよう

本書はいくつかの性格を併せ持った本で

  • 著者・吉田浩一郎氏の起業へのプロセスと学び(1-3章、6章)
  • クラウドソーシングという新しい働き方の概念紹介(4章)
  • クラウドソーシングのプラットフォームであるクラウドワークスの紹介と新たな試み(5章)
  • 特別対談としてのライフネット生命、岩瀬大輔氏との対談(特別対談)

というパーツがあり、こうしてみると一見バラバラに見えますが、ストーリーは通っていて読みやすいです。

ポイントとしては大きく2つ

  • クラウドソーシングの出現が働き方をどう変えるか
  • 吉田氏の失敗と成長のプロセス

です。

 

クラウドソーシングの出現と働き方

クラウドソーシングとは

インターネット上のサイトを介して、不特定多数の人々を募り、仕事を発注するサービスのことを指している。仕事の受発注から納品まで、すべてインターネット上で行われる。発注は今まで一度もあったことがない人の場合がほとんどで、仕事は最初から最後まで一貫して非対面で完結する。

というサービスで、従来のジョブマッチングサイトに比較して

「プロジェクト形式」「コンペ形式」「タスク形式」

の3つが特徴として挙げられています。

私も起業準備にあたり、ホームページや名刺のデザインを考えて調べると、すぐにクラウドソーシングのコンペサイトがヒットしたほど、今急激に伸びている市場です。

これに加えて、受発注のスピードが速い、応募者のスキルだけを純粋に評価されるという従来型のリアルビジネスにはない特性もあって、実際に、発注から15分で依頼先が決まる、70代の応募者の受注が決まる、などの実績があるそうです。

ちなみに「クラウドサービス」の「クラウド」は「cloud」で「雲」の意味ですが、「クラウドソーシング」の「クラウド」は「crowd」で「群衆」の意味です。
(本書を読むまで気がつきませんでした。)

インターネットの発達で、従来に比べて個人事業主やフリーランスが働きやすい環境が整っていますが、私はこの最も大きな後押しになるのがSNSとクラウドソーシングではないかと思っています。
個人事業主やフリーランスにとって、今も昔も変わらない最大の課題が集客と営業、そしてリソースに限りがあることであり、SNSとクラウドソーシングはその課題に対する大きなソリューションになっているからです。

本書には、クラウドソーシングの世界になっても受注するには営業スキルが求められることが書かれていますが、その手前の集客に関してはクラウドソーシングのプラットフォームがある意味代わってやってくれることになります。
また本書では個人事業主やフリーランスはクラウドソーシングにおける受注側のプレーヤーとして説明されていますが、もちろん発注側の立場に立ってリソースの調達にも利用できるわけです。

スキルを持つ多くの人材が、この集客と調達の機能を利用するために企業に属し、企業のルールの中で働いています。
本来なら充分フリーランスでやっていける、あるいは自分のスタイルで仕事をやっていきたい人にとって、このクラウドソーシングの果たす役割はとても大きなものになりそうです。

本書には

仕事が企業に紐づく時代から、個人に紐づく時代へ

という表現がありましたが、この動きを加速するエンジンの1つがクラウドソーシングというわけです。

現在は、エンジニアやデザイナー、ライターなどの仕事が多いようですが、翻訳、コンサル、士業、リサーチャー、ファシリテーターなど拡大可能な業種は多くあります。
このように、より一般的な業種に活用が広がっていったときに、働き方の概念は大きく変わるのかもしれません。

 

挫折からの再スタート

次に著者・吉田氏の起業プロセスです。

吉田氏によるクラウドソーシングのプラットフォーム会社であるクラウドワークス設立は吉田氏にとって2回目の起業です。

1回目は役員の裏切りなどにより失敗。

しかしそこからの学びを糧に2度目の起業を行ったわけです。

2度目の起業には1度目の失敗がしっかりと活かされていて、その教訓が参考になりました。
いくつか気になったところを。

単なるお金儲けではなく、事業としての夢が必要

前回の投稿でも書きましたが、理念とか使命感とかといった部分になると思います。
その思いから生まれた

21世紀の新しいワークスタイルを提供する

というクラウドワークスのミッションは変わりつつある時代とそこに対する吉田氏の思いを端的に表した一言なのだと思います。

事業には他人が持っていけないような仕組みが必要

前回起業した会社で役員に裏切られたという経験から導きだされた吉田氏の考え方です。
競合対策として模倣困難なビジネスを行うという話は出ますが、それを他人が持っていけない仕組が必要という発想に紐づけたところが面白いと思いました。

最後に、個人的にですが、この本に出てくる吉田浩一郎氏、岩瀬大輔氏、藤田晋氏は、私とほぼ同世代なんです。

彼らに限らず、最近同世代の起業家の活躍をよく目にします。
頑張ろうという思いを新たにさせてくれた本でした。

 

将来、フリーランスで働くことを考える人や、起業を志す人にとって読んで損はない本です。

最後までありがとうございました。