教育だけでなく日本の処方箋 【書評】東大とハーバード 世界を変える「20代」の育て方

      2014/01/31

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こんにちは。

留学コンサルタントの藤本です。

感動する本に出会いました。

本書はハーバード、東大という文字通り日米のトップ校でそれぞれ10年以上教育に携わった柳沢幸雄東大名誉教授・開成中学・高校校長の日本の教育界に対する提案です。

 

本書はハーバードの教員(オフィサー)はスポンサーを回り、自力で研究費を獲得することが必要ということから話が始まります。
教員・研究者といえどもビジネスマインドが必要で、その資金が獲得できなければハーバードを去る仕組みが出来上がっているそうです。
「自由」に研究できる反面の厳しい「責任」があり、そこで生命体としての組織の新陳代謝や成長があるということです。

また組織は決定を下せるオフィサーとオフィサーの指示通りに動くスタッフに明確に分けられ、オフィサーはリーダーシップを発揮して独断で決定を下しても良いが、それゆえ責任が明確になっている、ということでもあります。
逆に言うと責任が明確でない組織では、トップはリーダーシップを発揮しようがないということです。

これを著者は

日本のトップは根回し・意見調整型 ⇒ その分、責任が不明確
米国のトップは自分で判断 ⇒ その代り責任が明確

という分かりやすい対比で分析しています。

そして、「責任」を明確にするためには情報のオープン化が必要です。
学生から教授に対する評価もオープン、日本では密室で行われる教授会に学生代表も参加するというオープンさです。

さらに組織の多様性。ハーバードでは学生も多様、教員も多様というわけです。
その必要性を以下のように説いています。

ダイバーシティが大切だというのは、生態学の観点から見ても妥当です。
すべての環境は常に変化します。今主流になっている生き物にとって新たな環境は不都合かもしれず、そうなれば淘汰されてしまいます。かつて地球の環境が激変したとき、それまでの環境に適応していた恐竜が絶滅したように。
地球上の生物が恐竜だけだったら、恐竜の絶滅とともに地球上の全生物もほろんだかもしれません。しかし、地球上の生物が恐竜だけだったら、恐竜の絶滅とともに地球上の全生物も滅んだかもしれません。しかし、地球上の生物にはダイバーシティがあり、恐竜だけでなく、ほ乳類やほかの生物がいました。彼らが生き残ったから、地球上の生物は全滅することを免れたのです。(P.63)

「環境はつねに変化する」という前提で考えると、多様な集団こそ変化に柔軟に対応し、生き残れるものだと言えるでしょう。(P.113)

右肩上がりの高度経済成長期は単一性のメリットが最大限に発揮された時代でした。(P.114)

そもそも東大を筆頭とする日本の大学が単一性をもつ集団である理由は競争にさらされない歴史があるためです。(P.115)

日本が生き残るためには組織に多様性が必要ということです。
全くその通りではないかと思います。

また最近注目のリベラルアーツについては、以下のように解説があります。

アメリカのリベラルアーツの学生は文系・理系にとらわれず、全ての分野の授業を勝手気ままに取っているかといえば、決してそんなことはありません。リベラルアーツ教育で重要なのは、学生一人一人に対するアドバイスです。学生が「将来、こういうことをやりたい」という漠然としたアイデアを明確にするために、アドバイザーが「そのためにはこういう勉強をしたらいい」と助言し、学生は科目を選択します。(P.142)

一つの専門分野を選び、工学部であれば工学という学問の体系を得て、「工学観」というものの見方を自分のなかで完成させる。「工学的に見ると、このニュースはこういうことではないか」と自分の言葉で世の事象について意見が述べられるようになれば、それは学部教育の最も洗練されたゴールとなります。(P.145)

やりたいことを見つけるというのも大学(学部)に行く1つの目的ですが、本質はその4年間で1つの学問体系を身につけるということです。
目的を重視する考え方に共感します。

さらに自分のカラを破ることの効果についても言及があります。

「負ける経験こそ大切」というのが私の持論であり、できるだけ若いうちに、繰り返し負けてみるのがいいと考えています。「早いうちに負けを味わう」とは、自分を知るための最良の道です。(P.182)

確かに日本は居心地がいい。しかし、日本文化の心地よさを乗り越えなければ、新しい世界は開けません。(P.178)

 

この他にも以下のような提言があり、非常に参考になりました。

国際人として必要なのは英語ではないこと
社会人経験を経てから大学院に進学した方がよい分野があること
論理的に伝えるとはどういうことか
働き方には2つのスタイルがあること

 

いずれも日米の双方で経験したからこそ出来る提案でしょう。
テーマは教育ですが、私は教育界だけでなく、この日本を変える大きな提案だと思いました。
教育関係者、学生のみならず日本に閉塞感を感じる人は是非ご一読を。

 

最後までありがとうございました。


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