900年の大学の歴史が変わる?MOOCのインパクト

      2014/06/20

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こんにちは。

Masaです。

ここ最近、MOOC(ムーク)について目にすることが多くなってきました。

MOOCとは「Massive Open Online Course」の略でWeb上で参加可能な大規模オンライン講座のことです。

このMOOCは、今後の学校や留学の在り方、企業研修や就職の在り方が一変される可能性を秘めたものになりますので、少し詳しく書いてみたいと思います。

 

MOOCって何?

 

MOOCはオンライン上に提供された講座を、世界中どこにいても、インターネットさえつながれば受講できる仕組みです。

受講料は原則無料です。
講座の提供者は大学もあれば個人の専門家のケースもあります。

講座は通常、講座開講期間中に動画の講義が適宜アップされ、それを閲覧します。
この講座は数週間続き、その間に課題も出ます。
オンラインで、講師への質問や受講者同士のディスカッションも可能です。
すべての講座を受講し、課題を終えると、オンラインで試験も受けられます。
大学が提供している講座は、試験も含めて全課程を修了すると、修了証(certificate)が発行されるものもあります。

まだ学位の授与まではできませんが、そうした動きもあるようです。

受講生にとっては、オンラインで場所を選ばず受講可能、しかも原則無料、講師や他の受講生ともオンラインでやり取りが可能ということでメリットが大きいのは言うまでもありませんが、大学や企業にとってもメリットのあるビジネスモデルになっています。

まず、大学側は、質の高い授業を公開することにより、大学のブランドを高めることができ、また講座での成績から、より優秀な生徒を精度高く入学させることができます。

また講師個人にとっても、講座を公開してその講座の人気が出れば、実力を示すことができ、より良い待遇につなげることができます。

講座は受講者数などがすべて表示されるため、どの講座が人気があるかが一目瞭然です。

更に企業にとっては、学習状況や成績によって、世界中の受講者の中から優秀な受講者を知ることができ、採用活動につなげることができます。

これまで、学位や学校名に頼った採用をせざるを得ませんでしたが、どんなことを学んだのか、個々の試験はどのような成績だったのか、どんなレポートを書いているのかなど、より正確に受講生の実力を知ることができます。

学習状況や成績のデータを企業に送ることを許可するかどうかは受講生側の選択になりますが、優秀な生徒にとっては、そういったデータを提供することによって企業に対する絶好のアピールになるわけです。

MOOC運営者はこうしたデータを企業に販売することによって、収益を上げています。

 

MOOCをめぐる動き

 

こうしたMOOCのサービスは、既にアメリカを中心にいくつかのサービスが立ち上がっています。

最も利用が広まっているサービスの1つcoursera(コーセラ)は昨年4月にスタンフォード大学が中心となってスタートし、現在、450以上の講座をアップされており、190か国から1700万人以上の受講生が集まっています。

講座を提供している大学や専門機関も90を越えており、その中にはフランス、オーストラリア、香港、シンガポール、台湾などの大学も含まれています。

提供言語は英語がメインですが、フランス語、中国語、スペイン語などの講義もあります。

この他にもマサチューセッツ工科大学、ハーバード大学が中心になって昨年秋に開始されたMOOCであるedX(エデックス)、元スタンフォード教授が中心となって立ち上がったUdacity(ユダシティ)などのサービスがあります。
(これらのサービスのプラットフォームは、それぞれ特徴が異なります。この辺りは次回投稿したいと思います。)

 

このように、アメリカの大学では、ハーバード、スタンフォード、MITなどのトップ校がいち早く取り組んでいます。

カナダにおいても、トロント大学、マギル大学、ブリティッシュコロンビア大学など、やはりトップ校の参加が見られます。

日本では東京大学に続き、京都大学も参加を表明しており、近く更に参入大学は広がるものと思われます。

アメリカでは既に、留学するだけのお金はないけれどもMOOCで優秀な成績を納めた優秀な学生には、授業料免除で大学に入学させるケースや、MOOCのデータによって、優秀な学生を採用する企業が出てきています。

 

MOOCのインパクト

 

この週末にいくつかの講座を受講してみました。

詳細は次回投稿に譲りますが、単純に講座の質だけを考えた場合、考えようによっては実際の大学の教室で講義を受けるより優れていると感じるところがありました。

何せ、多数の大学が提供する数あるコースの中から、最適なものだけを選択して受講できるわけです。

この一点だけとっても、1つの大学に大金を投じて通うよりも、無料で、しかも有名大学、有名教授の授業をオンラインで学ぶ方を選ぶ人は出てくるだろうと思います。

この便利さと品質を体験してしまうと必然的に以下のような感覚を持ってしまいました。

 

  • 将来的には、ますます多くの人が、経済的な観点や複数の学校から最適な講義を選択できる仕組みに魅力を感じて、オンラインを選ぶだろう
  • オンラインで学ぶ人が増えたときに、採用する企業の側も、学位や大学名だけでなく、その人が実際に何を学んだのかという実利面を重視するようになるだろう
  • そうすると学位の価値は相対的に下がるのではないか
  • そうなると、研究職へ進む人を除いては、ますます多くの人が形式的な学位よりも実利的なオンラインを選ぶのではないだろうか
  • 学位授与権を最大の特権としてきた大学は大きな変革を迫られるだろう

 

大学制度の始まりは11世紀のイタリア・ボローニャ大学にあると言われています。

初めは純粋な教えと学びだった場から、やがて生活の保護と授業の質を求める学生の組合と、教える立場を守るための教授の組合が生まれ、そこから学校を維持するための授業料と、課程を修了した証明および教授資格としての学位授与という制度が生まれたと言われています。

以来、大学は数々の改革を経験してきましたが、原則、授業料またはその代りの補助金を得て、学位を授与する機関としてのモデルを維持してきました。

900年間変わらなかったこのモデルが、ついに変革の時期を迎えているのかもしれません。

 

もっとも、大学側も簡単に学位授与権の価値を下げるようなことはしないでしょう。

MOOCに参加している学校でも、オンラインのみで、無料で学位を授与するところまでは同意していません。

イギリスの伝統校、オックスフォード、ケンブリッジ両校は、現時点でMOOCには消極的です。

仮に、学位を認める動きが出てきたとしても、大学間での単位互換の問題や、受講者の本人認証など、解決すべき課題は多くあります。

これらの問題から、ここ1-2年ですぐに大学が存亡の危機に立つということはないと思います。

しかし、一度始まった大きな流れは、そう簡単には変わらないでしょう。

Windows95が発売された当時、IT革命と言われていましたが、そう叫んでいた人たちでさえ、現在のように中学生がスマートフォンを持ってSNSで会ったこともない人と連絡を取り合うような世の中になるとは想像できていた人は少なかったと思います。

一度、選択肢があることを知ってしまった人は、より良い選択肢を求めて動いていきます。
それが大きな潮流になったとき、学びのカタチは大きく変わる可能性があります。

欧米の大学の授業料は毎年上がり続けています。
高額な授業料を取って、その収益で豪華な施設を作り、高名な教授を雇うということが、ある意味大学の成功モデルのように言われていたことも事実です。
それは学位授与権という特権があったからこそ成り立つ部分もあったわけですが、この特権がなくなったとき、このモデルに顧客である学生の満足度という視点があったのか、改めて問われることになります。

大学が学生に本当に与えるべき価値は何か、真剣に考えなければならない時代が来ています。

 

次回は、実際にMOOCを受講してみて感じた、各サービスの違いと品質について書いてみます。

 

最後までありがとうございました。


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