実録 妻から見たカナダ(後半)
- 2013.11.07
- カナダでの教育と生活 妻から見た夫シリーズ
- カナダ, 留学, 妻, 子育て
こんにちは。
Masaです。
前回に引き続き、妻自身のカナダ滞在について書いてもらいます。
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カナダでの子育て
カナダで子供を預けたり、一緒に遊ぶ場所はいくつかあります。
◆デイケア(保育園)
カナダの子育て環境は日本と似ている点も多いです。
ワーキングマザーは通常デイケア(保育園)を利用します。
住んでいた家族寮の1階にもデイケアがありました。
評判のいいデイケアのようでしたが、利用料はバカ高いです。
今年の最新情報をインターネットで調べてみました。(以下は1か月あたりの利用料)
- $1,857/month Infants (乳児)
- $1,689/month Toddlers (2~4歳程度)
- $1,295/month Preschoolers(幼児)
カナダドルは94円程度ですから、乳児を1か月預けるのに何と17万円以上するということです!
ただ審査に通ればSubsidy(助成金)を受けられる可能性があります。
学生の夫婦であればかなり助成されると聞いたことがあります。
ただし・・・ここにも立ちはだかるのがウェイトリスト!
実はデイケアだけでなく、Subsidyもウェイトリストがあり、順番を延々と待ち続ける必要があります。
デイケアとSubsidyのウェイトリストは別のものなので、デイケアの順番が回ってきたけどSubsidyがまだだーとかあり得るわけです。
私がトロントに到着したとき、数人の人から「とりあえずSubsidyのウェイトリストに登録しておけ」と薦められました。
順番が回ってくるまで結構時間がかかるので、デイケアを希望していなくても登録して損はないということです。
なので私も一応登録し、1年後くらいに順番が回ってきたから審査のために面接しますという連絡がきましたがデイケアに入れる必要がなかったので辞退しました。
少しでもデイケアを希望する可能性のある方はウェイトリストに登録しておくのがよさそうです。
日本の待機児童も深刻ですが、トロントでもデイケアにはなかなか空きがなかったので、デイケアのウェイトリスト登録もお忘れなく。
デイケアの受け入れ態勢はまだ改善の余地があるとはいえドロップインセンターが充実しているので、日本でもワーキングマザーしか利用しない保育園にばかり税金を投入するのではなく、家で子供を育てている人が利用しやすい児童館にももっと注力してほしいなぁと思っています。
虐待とかネグレクトとか、育児の問題は母親の孤独に起因するところが大きいですよね。
母子をどんどん外に連れ出す政策ってもっと必要だと思うのです。
◆ドロップインセンター(児童館)
トロントのドロップインセンターではママだけでなくパパもたくさんやってきます。
専業主夫も普通にいますし、朝はパパが学生で、ママが子守り、午後はスイッチするという夫婦もいます。
ママ二人の家庭やパパ二人の家庭(同性愛夫婦)もドロップインにやってきます。
ベビーシッターと来る子も多いです。
私と娘は主に徒歩圏内にある3つのドロップインセンターを利用していました。
その中で特に居心地がよかったのは同性愛者が集まる街にあるドロップインセンター。
スタッフも見るからにユニークな人達が多いのですが、いつも訪れると温かく歓待してくれました。
ここでは時々図書館から幼児教育専門のスタッフがきて本を読んでくれたり、リズム遊びをしてくれましたが、なぜか私の娘がその女性スタッフにすごく気に入られ、私の耳元まできて “She is my favorite…! (この子私のお気に入りよ)”と小声でささやいたという不思議な思い出があります。
◆プレイスクール
たまたまトロント大学の近くにHuron Play Schoolという学校があり、2歳半から受け入れてくれるので帰国前の半年だけ通わせました。
前述のとおりデイケアはかなりお金がかかるので諦めていましたが、やはり少しはカナダの集団生活を体験させてみたいなぁと思っていたところ、同じ寮に住んでいたカナディアンの子が通っていたこの学校を教えてもらいました。
こちらは午前中か午後を選んで数時間程度子供を預けることができる所でした。
利用料は月200ドル程度だったように思います。
安さの秘訣はCooperativeというシステム。
親が当番制で学校の仕事を手伝うことになっているのです。
順番が回ってくるとその日はプログラムの最初から最後まで子供たちと一緒に過ごします。
スナックタイムの準備をしたり、簡単な掃除をしたりして、空いた時間は子供と触れ合いながら過ごします。
この仕事ですが、親が毎回2人参加することによってこのプレイスクールは成り立っていました。
子供の人数に対する大人の人数にはルールがあるので、当番が急遽来れなくなったらその場で誰かが交代して引き受けなければその日はプログラムを開いてはいけないことになります。
ちなみにこちらに登録する際に、私の予防接種の記録を出すよう言われました。
子供と接触する仕事をするためには必要なんだそうです。やっぱり日本とは予防接種に対する考えが違いますね。
慌てて実家に連絡し、母子手帳(母がまだ持っていた!)を郵送してもらいましたが、その当時のことでしかも末っ子の私、大して記録されていませんでした(笑)。
私にとっては子供をただ預けるだけでなく、さらにママ友達の輪を広げる素晴らしい機会でした。
カナダの医療事情
子供の予防接種はかなり日本とシステムが異なります。
実は日本の方が予防接種については後進国なのだそうです。
我が子がトロントに滞在したのは1歳~3歳。
打てるだけの予防接種を日本で終え、カナダでは何も打たずに帰国し、日本で足りない分を打とうかと思っていました。
理由は北米では子供の両腕両足に一気に何種類も注射することもあると聞いてコワい!と思ったから。
しかしその考えをトロントで開業している台湾人ドクターの奥様(日本人看護師)に話すと
「みなさん、トロントの滞在期間を無理やり延ばしてでもできるだけたくさんの予防接種を受けさせてから帰国するんですよ!」
と一喝されました。
日本ではなかなか受けられなかった髄膜炎の予防接種もカナダでは当たり前だし、インフルエンザの予防接種にいたってはショッピングモールで誰でも(旅行客でもなんでも)受けることができました。
確かに両腕にブスっと大胆に注射をするのは合理性を愛するカナダ人らしいなぁと思います。
日本では1本打ったら次は2週間後以降に・・・とか言われますよね。
ママ友達が2本注射を打った晩に赤ちゃんが熱を出したから病院にかけこんだところ、「注射打った日は解熱剤飲ませなきゃ!」と言われたと言っていました・・・
熱を出す前からもう解熱剤を飲ませるのか!と驚いたものです。
今でも子供が小児科にかかる時は母子手帳とあわせてオンタリオ州の予防接種記録も持っていきますが、小児科の先生が変わるたびに「たくさん注射受けてますね。これはいいですね。」と感心されます。
カナダならではの苦労
やっぱりカナダ生活と言えば避けては通れないのはその寒さ。
私たちが滞在した2回目の冬は記録的な大雪が降った年でした。
雪が降ると交通事情が悪くなり、子連れでの生活は大変です。
ある日、Storm注意報が出ているけどどうしてもアジアンスーパーに食材を買いに行きたいからタクシーで行っちゃおう!と行ったところ、買い物を終えてスーパーから出ようとしたら視界ゼロの真っ白な世界だったことも。
ものすごい吹雪で何も見えません。
タクシーを呼ぼうと電話をしたら「2時間待ちです」と…。
スーパーから出られない!2歳児が一緒なのに!
と相当焦りましたが、結局スーパーが臨時のシャトルバスを出して何とか近くの地下鉄の駅まで連れて行ってくれました。
あの時は命拾いしたと思いました…。
またその頃娘は半日だけ現地のプレスクールに通っていたのですが、あまりの雪でベビーカーでの登園も大変で、考えた挙句ソリを買って使ってみることにしたんです。
雪の上をソリで引っ張るのだからベビーカーより楽かと思いきや、トロント市内は意外に除雪されているところもあったりするし、体重は軽いとはいえ、子供の乗ったソリを引っ張るのは意外と辛い!
汗だくになって歩道や横断歩道で40分ほどかけてソリを必死で引っ張り続け、振り返ると娘がソリで眠っているのを見た時、これはないなと思い、すぐにソリはお蔵入りになりました。
私たちはダウンタウンに住んでいたからよかったのですが、郊外で車の運転も必須であれば雪道の運転は必要になると覚悟しなければいけません。
あとフレンドリーな人は多いけど、大雑把というか言ったことが守られないということはしょっちゅうありました。
家族寮に入居する日、鍵を受け取るため指定された時間に寮のオフィスに行ったら受付の人に「そんなの聞いてない。担当者が不在だから帰ってきたら携帯に電話してあげるわ。」と冷たくあしらわれ、1歳児とともに真夏のトロントダウンタウンをいつ来るかわからない連絡を待ちながらさまようはめになりました。
入居してからも部屋の備え付けの冷蔵庫が動いていなくて、交換をお願いしたらいつまで待っても来ないとか(冷凍食材をかなり無駄にしてしまいました!)。
どうも仕事に対する姿勢が日本人とは違うんですよね。何でも相手の言うとおりにせず、必要であればどんどん意見をすることが大事です。
それでもカナダ人って
生粋の「カナダ人」の定義が難しいところなのでカナダ人っぽいなぁという形容もあまり使われないような気がするのですが、本当にフレンドリーな人が多いです。
特にベビーカーを押していると、通行人に微笑みかけられたり、時にはよびとめられて「ちょっとちょっと、あなたの子、とてもかわいいわ!」と言われたり(そこまでかわいくはないんですけど…いやもちろん親からすればかわいいけれど、他人にそこまで言われるほどではないと思うのですが…汗)。
おばちゃんから突然「今度あなたを招待したいわ。連絡先教えて」と言われたり、逆に「私も小さい子を連れて移民してきたのよ。困ったことがあったら連絡して」と電話番号を渡されたり。
あと、ホームレスに対して施しを与える人が子供から大人まで結構いるのが印象的でした。
まとめ
本当にいい思い出しかないトロント生活なので、読んでいる方の参考になるのかどうかサッパリわかりません。
まぁ帰国してから4年ほど経っているので、老化も手伝って(汗)嫌な思い出が忘れられているだけかもしれませんが…。
あ、一つ嫌なことを思い出しました。
それは2年間のトロント滞在で貯金が底をついたことです。
でもこれだけは言えます。
お金に替えられないプライスレスな体験でしたし、何よりも今またカナダに住むことを検討できるきっかけとなりました。
できるだけ多くの選択肢を持つためにも今いる場所とは違う世界に飛び込むことをお勧めしたいです。
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Masaです。
私は、結婚してからは、私がずっと仕事で忙しかったり、英語の勉強だったりで、夫婦で旅行らしい旅行にも行けなかったので、留学するにあたっては、妻にはカナダの生活を楽しんで欲しいなという気持ちでいました。
なので、私は授業で何も手伝えませんでしたが、彼女自身は、色々な友達を作ったり、充実した生活だったみたいで良かったなと思います。
留学したくても奥さんがなかなか賛成してくれない旦那さんとか、旦那さんが留学したいといっているけど不安を感じている奥さんとかにとって、記事が少しでも参考になれば幸いです。
もし私や妻に聞きたいことがあれば遠慮なく聞いてくださいね。
最後までありがとうございました。
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