留学の醍醐味を味わえる一冊 【書評】コンテンツビジネスのすべてはUCLA映画学部で学んだ。
こんにちは。
留学コンサルタントの藤本です!
今、デザインやクリエイティブ系の留学が注目を集めています。
この本は、映像、音響、コンテンツビジネスなどのクリエイティブ系の留学をしたい方に是非ご一読をおススメしたい一冊です。
留学をしたことある人の体験記は色々と出版されていますが、クリエイティブ系で留学した人の本というのはほとんどないのではないかと思います。
そういう意味で、本書はクリエイティブ方面での留学を考える人にとっては海外での授業や実習のあり方を知る貴重な本です。
そして、この本のもう一つのおススメしたい点は、留学するまでのプロセスや留学してからの苦労話がとても赤裸々に書かれている点です。
この本の著者は津谷祐司さん。
東大を卒業後、博報堂に就職、そこを休職してカルフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の映画学部に留学、帰国後は後に東証一部上場になるボルテージを設立し、コンテンツビジネス事業を手がけていらっしゃいます。
この経歴を見るとかなりスゴイ人なのですが、こんなエリート街道を歩んできた人でも、留学した当初はかなり打ちのめされる経験をされていらっしゃいます。
海外の大学や大学院に留学する人には元々帰国子女などで英語が得意な人と、留学のために頑張って英語を勉強して合格を勝ち取る人がいます。
津谷さんは後者のタイプ。
そして、この本は留学前から留学中のエピソードまで苦労して留学した人ならではの視点でとても鮮明に描かれています。
いくつかお気に入りのシーンをご紹介します。
留学して初めてクラスメートと教授宅のパーティで顔を合わせるシーン。
ほかの学生はみな、ジョークを交えながら、面白おかしく自己紹介をしてみせた。どんどん場が温まって、盛り上がっていくが、僕はその場でかわされている英語の半分も理解できないので、その盛り上がりに入って行くことはまったくできなかった。僕に話しかけようとする人もいなかった。
顔を合わせるのはみんな初めてである。これから映画学部で学んでいくために、みんな自分の力でコミュニケーションを取って、周囲に自分を認めさせていかなければならない。その意味では、みんなが必死だった。自分から積極的にコミュニケーションを取ろうとしない奴など、相手にしている余裕はないのである。
そのまま2時間くらい、僕はほとんど誰とも話さずに、一人ぽつんと、ひたすらパーティが終わるのを待っていた。
この文を読んだときに、私もMBAコースの初日を思い出しました。
あの日、朝食が用意された会場にコースの全学生が集まったのですが、カナダ人生徒たちがテーブルに座って和やかに自己紹介したり、談笑したりしているのを、私はただ遠巻きに見ていて何もできませんでした。
そんな今思い出しても胸がきゅーっとなる思い出です。
次にクラスの中で孤独感を味わっていた津谷さんがほぼ初めてクラスメートと打ち解けるシーン。
僕の作品で撮影監督を務めることになったのは、ジョンという男だった。チーム分けが終わった後で、ジョンは僕のところに来て、「ユージ、お前のアパートにいってもいいか」と唐突に聞いてきた。クラスメートと面と向かって話すのは、これが二回目だった。
(中略)
ジョンは、その日の夕方、僕の部屋にやってきた。(中略)最初は何を話していいか分からなかったが、少し経つと、何となくお互いに自分のことを話すようになった。
(中略)
たどたどしい英語を使ってではあったが、僕はジョンと多少は打ち解けて、互いのことをある程度知ることができた。クラスの中心的な存在のジョンと仲良くなれたことで、僕の気持ちもかなり楽になった。
私も初めてネイティブのクラスメートと面と向かって話すきっかけはチーム分けでした。
チームだからお互い味方になってもらわなければならないという暗黙の了解のもと、一生懸命話をしようとしたことを覚えています。
この後も、英語が不得意なことで子供扱いされ、同じチームになるのを避けられ、といった経験を経ながら、最後には制作した映画が、それを観た全員に認められるといったサクセスストーリーが続きます。
留学を決めるまでの葛藤、
合格までの苦労、
合格通知が来るまでのドキドキ、
会社に留学を伝えるときの気遣い、
留学してから最初の数ヶ月の何とも言えない孤独感、
それらを飛び超えて徐々に仲間を増やしていくプロセスと海外で何かを成し遂げる爽快感。
留学の苦労と感動が満載の一冊です。
クリエイティブ系留学を目指す人、目標を持ってゼロから留学を始めたい人は是非ご一読を。
最後までありがとうございました。
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